すみっこスミレ


 冬の間に、小さな芽を出していたスミレ。


小さな芽は、草刈り鎌の先に引っ掛かり、こそげとられていたかもしれないのですが、

その危機を乗り越えたスミレは、沢山の花をつけ始めました。

一つひとつは薄い色で、小さな花ですが、

密集していると、遠くからでも紫色がはっきりとわかり、

森庭が可愛い雰囲気に包まれます。

スミレは、石と石のどんな小さな隙間でも育ちます。

すみっこでも、しっかりと芽を出すのは、「アリ」のおかげだそうです。

「アリ」は「スミレの種子の周りのエライオソーム」という物質が大好物。

周囲を食べた後の中の硬い種子は、ごみとして捨てているのだそうです。

アリの巣から、ごみとして運ばれるスミレの種子。

そのお陰で、石の間や小さなすみっこでも芽を出すという仕組みなのです。

一度はアリに食べられながらも、めげずに、自分の役割を果たそうとする。

この可愛いスミレからは、そんな逞しさはわかりませんでした。

もしかすると人間も、はかなげで弱々しくみえても

案外と芯に、逞しさを秘めているのかもしれません。

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